一般社団法人 湘南くらしのUD商品研究室
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2018年12月31日
 
国際生地・素材EXPO YKKのユニバーサルデザインに注目

主任研究員 柳原美紗子

 先般のファッションワールド東京と同時開催された第4回国際生地・素材EXPOで、ファスナーの世界的メーカー、YKKが出展していました。中でも私が注目したのが、ユニバーサルデザインのファスナーです。
 ファスナーって、手がふさがっていたりすると、使いにくく感じます。障がいのある方でしたら、お困りになることも多いのでは、と思われます。こうした状況を解決するために、YKKでは「簡単・素早い・やさしい」をコンセプトにユニバーサルデザイン商品の開発に取り組んでいるのですね。  
 

 
 
 
 今回、私が「いいな」と思ったのは「クィックフリー QuickFree?」です。これは「閉じる・開く」を容易にしたファスナーで、一定以上の負荷がかかると、エレメントと呼ばれる、かみ合わせ部分が自動解放されるようになっています。またチェーンを左右に引っ張るだけで簡単に開けることができるようになっているのです。 
 とくにキッズ(子ども)ファッション向けに開発されたものだそうですが、大人にもやさしいファスナーです。実は私もかみ合わせ部分に布を引っ掛けてしまって、操作できなくなってしまうことがよくあるのです。でもこのファスナーなら「もう大丈夫。安心・安全ね」と思いました。なおこの「クィックフリー」は、2018年度「グッドデザイン賞」の「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」を受賞しています。右上はクィックフリーを使った製品です。 
 
 
 
 またファスナーで一番苦労するところが挿し込むところですが、 この部分をはめやすくしたのが、左上の「クリックトラックclick-TRAK?」です。開き具部分をつまむと自動回転して、組み合わせする仕組みになっているのです。 
 「挿入補助パーツ」は、後付けの樹脂パーツで、これを使うと、開口部が拡大されて、視認性も向上し、開き具の挿入操作が容易になるそうです。手袋をしたままでも操作できるとか。スキーなどウインタースポーツウェアにいいですね。 


 
 
 
 左上の「コイル・No.3用挿入補助スライダー」は、スライダー(手でもって動かす部分)に挿入補助機能を採用したファスナーで、片手でも開閉できるとか。さすがYKK、いろいろ工夫されています。 
 ブースでは、米国の西部開拓時代に始まるジーンズのファスナーやリベット、ボタンなどの歴史を展示するコーナーもあり、大変興味深かったです。 


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