一般社団法人 湘南くらしのUD商品研究室
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2023年08月11日
 
ソーイング竹内から学ぶ縫製工場のサステナビリティ
環境と調和した経営を実践

代表理事 柳原美紗子

  

  兵庫県西脇市は播州織と言われる先染め綿織物の産地として有名です。この播州・西脇産地に環境配慮型の縫製工場があることを知り、興味を持ちました。工場は、昨年創業40周年を迎えた「ソーイング竹内」です。
  先般その3代目次期後継者で弱冠29歳という若さの竹内祐太氏が登壇するセミナーが、ファッションビジネス学会 FashionGood研究部会主催で開かれ、拝聴しました。テーマは「ソーイング竹内から学ぶ縫製工場のサステナビリティ」です。
  お話によると、「ソーイング竹内」は国内の繊維産業においてサステナビリティと叫ばれるようになる遥か以前から環境経営に取り組んでいる異例の企業です。2004年に環境省がISO14001の中小企業版として制定した「エコアクション21」と呼ばれる環境マネジメントシステムを取得、それも21番目という早さで認証され、エコアクション21オブザイヤーソーシャル部門環境大臣賞金賞受賞したといいます。   社屋には「ECO-FRIENDLY FACTORY (エコフレンドリーファクトリー)」の文字が大きく掲げられています。(写真は同社提供) エコアクション21への真摯な取り組みが目に見えるようです。
   このほど40周年を記念し新たなヴィジョンとして「NEW Nu COMPANY 人と想いを縫い合わせ、新しい価値を創造する」を策定。従業員27名で女性が多い工場は、明るい雰囲気で、およそ縫製工場らしくないとも。
  環境と調和した経営を行っていく、きっかけとなったのは、創業当時から大切にしてきた言葉「もったいない」の精神だそう。それがいつしかSDGsと呼ばれるようになったとか。とくにエコアクション21が決定したことで金融機関による関連融資とともに社会からの信頼を獲得、総合的な環境対応が可能になったといいます。
  同社にはキッチンファブリックブランド『BF KITCHEN』があります。これは環境配慮型の縫製工場であることを世に伝えるために立ち上げたもので、今ではこれが大きな稼ぎ頭になっているといいます。縫製工場は縫製の仕事だけでは持続可能ではない、との本音も聞かれました。
  ソーラーパネルにより発電される電力で、地場産業である播州織の生地を使い、播州織博覧会に参加して地域と連携、廃棄物のアップサイクルなども行って産地に貢献、ウクライナへも大量のマスクを寄贈するなど、社会貢献活動にも励まれているとのことでした。SDGsの17のパートナーシップで目標を達成しよう、の意識をもって、その11の住み続けられるまちづくりに徹底的に取り組みながら、包括的に他の目標達成もできていると胸を張る「ソーイング竹内」。その環境経営がなぜ高く評価されているのか、その理由が分かった気がしました。このような縫製工場が日本にどんどん増えてくることを願っています。



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