一般社団法人 湘南くらしのUD商品研究室
HOME
2023年08月11日
 
「ものづくり技術2023」三井化学の「ヒューモフィット」
体温を感知して変化する新素材

代表理事 柳原美紗子

  

  先般、日経ものづくり主催の「付加価値ある意匠デザインを実現するものづくり技術2023」が、東京都立産業貿易センターにて開催されました。出展したのは、デザインや開発のための素材・加工・成形・加飾・表面処理などの技術力を持つメーカー31社です。高付加価値のものづくりに直結する最先端技術を見て、聞いて、相談できる絶好の機会とあって、会場は多くの人でにぎわっていました。
  熱のこもった商談風景の中、私がもっとも注目したのが三井化学(株) の「ヒューモフィット(HUMOFIT🄬)」 です。人間の体温を感知してカラダを優しく包み込む新素材で、室温と体温の間(約28℃)で、柔らかくなるよう設計されているプラスチックシートです。体温を感知して、触れたカラダにフィットするため、千差万別の人間のカラダの複雑な形にもピタリとフィットします。
   今回の展示では、ヒューモフィットの新たな採用製品が紹介されていました。

  その一つが、(株)ワコールの新製品 「ハグするブラ」です。これはハグされるような心地よさが続き、着くずれしにくいというブラジャーです。
left right
  その秘密はサイドに内蔵されたハグシートにヒューモフィットが使用されていることにありました。ヒューモフィットは体温で柔軟に変化する素材です。ですからシートが体温でやわらかくなって、まるでハグされているようなここちよさが続くというわけです。
  「ハグするブラ」はこの6月から販売が始まっています。ホールドがしっかりあるのに締め付け感や窮屈さがなくて、ふんわりと着用できると好評のようです。

  またもう一つが、オーロラ(株)の渋沢栄一によって1892年に創業した日本初の帽子ブランド「Tokio hat(トーキョーハット)」のバケットハットおよびキャップです。

left right
  帽子の冠の内側にある、汗を吸収するように設計された帯状の、スベリといわれている部位にヒューモフィットが採用されています。体温で柔軟になるヒューモフィットをスベリに使用することで、温度調整スベリとなり、サイズが存在する帽子にとって革命的なパーツとして、顧客の頭にぴったりフィットする帽子を実現できたとのことです。既に昨秋から販売され、売れ行き好調といいます。
  この他、サポートチェアなど、温度依存性に優れたヒューモフィットは、様々なプロダクトに展開可能とのことで、期待されます。



インデックスに戻る
TOP