一般社団法人 湘南くらしのUD商品研究室
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2015年11月12日
 
映画 「ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償」
ファッション業界の裏側で起こっている生産現場の現状とは

主任研究員 柳原 美紗子

先日、映画「ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償」の試写会がエシカル協会主催で行われました。想像していた以上の衝撃的な内容で、見終わった後、重い気持ちになりました。

映画は、華やかなファッション業界の裏側で起こっている生産現場の現状を次々と暴き出します。中でも悲劇的なのが、2013年4月に起きたバングラデシュ・ダッカの縫製工場「ラナ・プラザ」の倒壊事故です。このときはニュース映像が何度も流れましたから、見知ってはいましたけれど、何と1100人を超える死者を出しました。なお本作はこの事故をきっかけにアンドリュー・モーガン監督がメガホンを取ったといいます。

労働者たちは、危険とわかっている工場でも、低賃金で働かざるを得なかったのですね。そうしないと暴力を振るわれ、仕事を奪われる、その悲惨な姿も映し出されました。

ファストファッション企業は、その国の法律に基づき正規に生産しているといいます。しかし実情はやはり違っているようです。低価格へのしわ寄せは、相変わらず貧しい労働者たちに及んでいるのです。こうした労働者の血の代償で成り立つファッションシステムは、やはり異常と言わざるをえません。

この他、映画には環境活動家やオーガニックコットンの栽培農家も登場します。モンサントの利益至上主義も痛烈な非難の対象でした。その不条理を改めて考えさせられました。

また環境汚染を引き起こす産業は、第一に石油産業、次いで衣服産業であるという指摘も胸にグサッと突き刺さって、未だに離れません。

ファッション業界の闇にスポットを当てたこの記録映画、一見の価値ある作品と思います。多くの方に見ていたただきたいですね。

11月14日から渋谷アップリンクにて公開されます。



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